カテゴリー
DTP

【+DESIGNING vol.42】「美しい文字組み」特集でワンランク上の組版を目指そう!

私たちから日頃から扱っている「デジタルの文字」。
見出しに本文にキャプションにと、DTPには常に「文字」の存在が欠かせません。

「自分なりに工夫しているけど、この組み方が正しいのかわからない」
「いつもここが文字化けするんだけど、どうしたらいいの?」
「もっとかっこいい見出しを組んでみたい」

などなど、特に文字組版でお悩みの方に朗報です。

vol.42の特集は「実践“美しい”文字組み講座」。
「文字組み」というと、なんだか複雑でややこしい知識が必要そう…と身構える方もいらっしゃるかもしれませんが大丈夫。
非・文字っ子代表を自負する私でも理解できるくらいやさしく書かれており、迷えるDTPerさんみんなにおすすめしたい特集なのです。

と、いうわけで、今回の記事では購入を検討されている方のために、特集を全力でレビューしてみようと思います!

+DESIGNING VOLUME 42

※9/29(木)現在、Amazonで注文した場合は届くまでに日数がかかっているようです。お急ぎの方はお近くの書店か、別の通販サービスを利用されるとよいかもしれません。

モジコさんとグリフくんの愛の物語から見えてくる、文字とのつきあい方

ものかのさんの書かれた「文字編」では、日頃意識することの少ないデジタルの文字のなりたちや、文字コードとグリフの関係についてていねいに解説されています。
中でも必読なのが、

  • 「文字コード」=モジコさん
  • 「グリフ」(字形+ボディ)=グリフくん

このふたりのラブストーリーです!
純愛あり、略奪愛あり、二股あり。デジタルの暗い闇の中で出会ったふたりの物語は、涙なしには読めません(笑)

文字の神様は、縁結びの神様。時々ズボラもするけれど、ベストカップル誕生には欠かせない存在です。

モジコさんとグリフくんの恋の行く末を読み終わる頃には、「文字の見え方」がきっと変わっていると思います。
デジタルの文字のしくみが理解できると、トラブル発生時の解決のヒントにもなりますよ。

基本をおさえて上質な組版を。組版ルールとアキ量設定を知ろう

コン トヨコさんが書かれた「本文編」も初心者にわかりやすい解説です。
特におすすめなのが、「文字組みアキ量」の選び方。
例えばInDesignの場合はアキ量設定がデフォルトで14種類も入っていますが、慣れないうちはどれを選べばいいのかわからないですよね。

デフォルトの設定を利用する場合は、行頭と行末に括弧類や句読点類がきた時にどのように処理するかを決めれば、適切なプリセットを導くことができます。

記事の後半では、基本的なルールに則った組版のフローが実践形式で解説されています。ルビのつけ方や数字の処理などについても説明されていますので、「長文を流しこんだはいいけど、どうしていいかわからない…」という時にきっと参考になるはずです。
中堅DTPerさんには、「文字をツメる方法」、「Adobeコンポーザー」の解説もおすすめです。

かっこいい見出しを組むには?いろいろな表現方法に触れてみよう

レイアウトの「主役」にもなりうる見出しの文字。
どんなフォントを選ぶべきか、メリハリを持たせるにはどうしたら良いかなど、より効果的な見出しを組むためのポイントやアイデアを樋口さんが書いてくださっています。

特に、「文字の最適なツメ方」はチラシなど端物の組版をされている方にもぜひ読んでいただきたい内容です。
フローチャート形式になっているので、自分が使いたいフォントに合わせて作業方針を立てるのに使えますね。

複数のウエイトやフォントを組み合わせて利用したいときに使う「合成フォント」機能についても解説されていますよ。
慣れていないと手を出しづらい機能かもしれませんが、きちんと使えばとても便利で、手数がかなり減らせます。
手作業で調整するのがちょっと大変な見出しを作る際にもぜひ活用したいですね。

実践形式のQ&Aがためになりすぎる

それぞれ本編の終わりにQ&A形式の解説ページがあります。
実務で遭遇しやすいトラブル事例と解決策、実践的な機能の使いこなし方などは初心者さんにも中堅さんにもおすすめ。

こんな感じでいろいろな項目が取り上げられていますので、気になる方はぜひ見てみてくださいね。

魔法のような「おぢんの文字組み設定」を適切に使いこなすには

愛用している方も多いはず、「おぢんの文字組み設定」。
+DESIGNING連載陣のお一人である「おぢん」こと大石さんが、過去に誌上で文字組みの基本を解説した上で、無償で設定を公開してくださっているものです。

プリセットでは物足りない方におすすめしたいアキ量設定なのですが、「こういう処理をしたいときはどうしたらいいの?」と悩んでしまうくらい設定にバリエーションがあります。

そこで記事中では、使う頻度の高そうなアキ量設定を厳選し、ものかのさんが解説を加えてくださっています。
しかも今号の発売に合わせて、おぢんさんがこれまで公開していたアキ量設定をさらに改良されたとのこと。

新しいアキ量設定、ものかのさんの記事を参考にぜひ使ってみたいですね。

「おぢんの文字組アキ量設定」のダウンロードと使い方はこちらから

だれでも文字を並べられる時代だからこそ、学んでおきたいこと

私は専門学校でコンピュータやデザインについて学んだのちに印刷会社に入社しました。その時点で印刷物の作り方は完全にDTPが主流であると言ってよかったと思います。

DTP以前の、金属活字や写植による組版の時代がどうであったかは、興味がなければその存在さえ知らない方もいるかもしれません。
しかし、過去の文字のしくみや組み方にどんな手順があったかを知ることがなくても、今は誰でもパソコンとアプリケーションを使って文字を並べることができてしまいます。
その結果、世の中には中途半端な品質の組版が製品として大量に流通してしまっていると言えるでしょう。

一方で、アプリケーションの進化や技術の進歩により、Webなどでも「文字組み」の品質の高さが求められるようになってきています。
「デジタルの文字」を扱うスキルが必要なのは、もはや印刷の世界だけの話ではないのです。

「ボディだとか文字コードだとか、ややこしそうだし知っておく必要あるの?」
「打てばとりあえずまっすぐ文字が並ぶのだからいいじゃない」
「読めればいいレベルのものにそこまで労力を割くのか」

という方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、文字を扱うことに少しでも誇りを持つのであれば、「さらに美しく、読みやすい組版を目指したい」という想いは誰でも抱くはずです。
その想いの強さに、職種や経験の長さは関係ないと私は思っています。

第一線で活躍されている方々の記事を読むことで、身近すぎて意識することがなかった「デジタルの文字」について、今一度考えることができそうです。

honto:書店、通販、電子書籍のハイブリッド総合書店
+DESIGNING VOLUME 42