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今回もKaleido Lab.に印刷用サンプルとしてイラストを提供させていただきました!
これまでも「Kaleidoインキで“ちょっといい”印刷」を実現してくださっているこの連載ですが、なんと今号の企画では「Kaleido Plus」という現在開発中の技術を実験的に使ってみる、とのこと。
「Kaleido」という製品名そのものはそれなりに浸透していると思いますが、特殊な印刷方式なので実際の業務で使う機会はなかなか無いのでないでしょうか。
「Kaleido Plus」がどんなものかは本誌を読んでいただくとわかるのですが、まずはKaleidoそのものについておさらいしてみます。
そもそも「Kaleido」ってどんな印刷技術?
一般的なCMYKの4色のインキでは、RGBすべての色域を再現することはできません。
それを解消するために東洋インキさんで開発されたのが、広演色印刷のためのプロセスインキ「Kaleido」です。
すごくかんたんに説明すると、Kaleidoインキを利用することでこれまでよりもRGBに近い印刷ができますよ、インキを替えるだけなので特殊な印刷機も必要ありませんよ、というものです。
※もちろん、印刷データを適切なプロファイルで処理することや、印刷機そのもののメンテナンスなども必要ですが、ややこしくなるので今回はそこには触れないでおきます。
単純に「Kaleido」というと、従来インキの代わりにKaleido CMYKを用いた印刷のことを指しているケースが多いかもしれません。
今まで私が素材提供してきたKaleido Lab.の企画では、このKaleido CMYKに様々なシチュエーションを組み合わせてイラストを印刷していただいています。
Kaleidoインキを使った墨抜き3色印刷「Kaleido 3C」
Kaleidoインキを使った印刷方式は「もっときれいに」を目指すだけでなく、表現方法としても更に進化しています。
そのひとつが、過去のKaleido Lab.の記事で検証されている「Kaleido 3C」です。
減法混色の理屈から言うと、CMYの3色があれば全ての色を表現できるはずですよね。
ですがこの3色のみの印刷では色が濁りやすく、シャドウ部やきれいな黒を再現することは技術的に困難とされてきました。
物理的には可能でも、美しい印刷結果を安定して得ることができないのは工業製品としては致命的。だから一般的な印刷ではK版がプラスされているわけです。
ただ、これは従来のCMYKインキでのお話。Kaleidoインキは従来インキと比べて純度が高いため、墨抜き3色でも一定の品質のフルカラー印刷ができるようになっています。
ここで気づくと思うのですが、「3C」ということは…。
そう、K版が余っているんです。
これがKaleido 3Cの面白いところ。余っている版に金や銀、蛍光色などの特色を割り当てられるのです。
+DESIGNING Vol.38の記事では実際に銀インクを追加して印刷をしているのですが、メタリックな質感がおもしろい刷り上がりになっています。気になる方は+DESIGNING Vol.38のKaleido Lab.を読んでみてくださいね。
+DESIGNING VOLUME 38 2014年11月号 [雑誌]
オレンジとグリーンで色域を拡張! もっと自由な「Kaleido Plus」
さて今回の企画で使われている「Kaleido Plus」ですが、「Kaleido 3C」とはどう違うのでしょうか。
それは「CMY(フルカラー相当)+特色」ではなく、あくまで「色域拡張」である点です。
従来インキのかけあわせでは再現が難しいと言われがちなオレンジとグリーンですが、「Kaleido Plus」ではこの2色のいずれか、あるいは両方を足すことで、更に表現できる色域を拡張しているそう。
そして、今回の企画では「Kaleido CMY」+「Kaleido Orange」の4色による印刷で実験をしています。
企画趣旨に合わせて赤やオレンジがベースになっている作品を提供させていただきましたが、従来インキでの刷り上がりに慣れた目で見ると、Kaleido Plusは本当に鮮やか。
毎回Kaleidoインキでの印刷は良い意味で予想を裏切られるのですが、今回はこれまで以上にビックリしました。
「印刷なのにこんなにオレンジ出ちゃうんだ…」というのが、色校正を見たときの一番の感想です(笑)
写真を撮ってみましたが、全然伝わらないと思うので、これはぜひ本誌で見ていただけるとうれしいです。
Kaleido Plusではやはりオレンジや赤の部分がより鮮やかに印刷されています。
ちなみに、従来インキ4色の印刷では本来私が意図して描いた色味がきちんと再現されています。
インキが違うだけで世界が変わる
できるだけRGBに近い印刷を…という認識だと、モニタの中にあるものを再現することにとらわれてしまいがち。
ですが、Kaleido 3CやKaleido Plusのような技術を使うのであれば、単なる再現にとどまらない、もっと複雑で豊かな表現ができそうだと感じます。
例えば、Kaleido Plusで6色機を使用する場合は、「Kaleido CMYK」+「Kaleido Orange」+「Kaleido Green」という印刷方式も選択できます。
フルスペックのKaleido Plusによる印刷結果は私には想像もつきませんが、印刷後の加工や紙のチョイスなど印刷ならではの要素も加えるとなると、ますます可能性を感じずにはいられません。
さらに、今回のKaleidoインキによる印刷ページはハイブリッドFMスクリーン「Fairdot2」を用いた高精細印刷。
高演色な上に階調表現もとてもなめらかです。
網点を観察しても面白いので、ルーペをお持ちの方はぜひ覗いてみてくださいね! Fairdot2について気になる方はこちら(PDF)をどうぞ。
さて最後に。
いやぁ、印刷ってほんとうによいものですよね…!
Adobe Illustratorが好きな人。
フリーランスで在宅DTPオペレーター&イラストレーターをしながら、Illustratorについておしゃべりしたり、記事や本を書いたりしています。
Adobe Japan Prerelease Advisor, Adobe Community Expert